ニシンは冷水域に生息する回遊魚で、
国内では北海道産の鮮魚が多く、
冷凍品や加工品は国外からの輸入が圧倒的に多い魚です。
酢漬けや塩漬けに加工されることが多く、
海外でもよく食べられています。
ニシンの魚卵はカズノコであり、
ニシンが昆布に卵を産みつけたものは子持ち昆布と呼ばれます。
ニシンもカズノコも国産のものは価格が高めですが、
とても美味しい食材です。
ここではニシンについて、
生態や旬の時期などをご紹介します。
目次
ニシンの生態と特徴
ニシンはニシン目ニシン科ニシン属の海水魚です。
別名「春告魚(はるつげうお)」と呼ばれ、
近世までは「かど」とも呼ばれていました。
体長は40センチほどで細長く、
腹縁が薄く上顎より下顎の方が長いのが特徴です。
冷水域を好み、主に北太平洋、北極海、日本海などに分布しています。
オホーツク海では通年、太平洋では秋から春にかけて、
日本海では秋から冬にかけて獲ることができます。
日本では1890年代に97万トンの漁獲量を記録しましたが、
1953年から減少が始まり、1955年には激減、衰退してしまいました。
原因は諸説ありますが、未だ解明していません。
漁獲量が激減して以降はロシアやカナダからの輸入に頼り、
人工孵化や稚魚放流も行われています。
しかし根本的な解決には至っていないようです。
ニシンの産卵期は日本近海では春から初夏、
厚岸湾などでは早くて11月ごろから産卵のために沿岸に現れます。
ニシンは水深15メートルより深い沿岸で、
海藻などに塊状の卵を産みつけていきます。
その数は数万粒で、体が大きくなるにつれより多くの卵を産みつけます。
この卵がカズノコで、昆布に卵が産み付けられたものが子持ち昆布です。
カズノコは子孫繁栄の象徴としてお節料理などに欠かせない高級食材で、
「黄色いダイヤ」と呼ばれていたそうです。
ニシンの生息場所
ニシンの分布域は、北太平洋、日本海、北極海、白海、
バレンツ海南西部、日黄海北部の渤海湾となっています。
ニシンの群れにも二種類あり、固有の湾内に生息する地域群と、
広範囲の海洋を回遊する広域群に分かれます。
回遊範囲がどのくらいになるかはまだ解明されていないようです。
ニシンの旬の時期・季節はいつ
ニシンの旬は10月から12月です。
産卵前のこの時期は、夏からたっぷり餌を食べて栄養を蓄えており、
しっかりと身に脂が乗っているのでとても美味しいです。
選ぶ際には、目が赤くなっていないものやお腹の部分が硬いものを選ぶといいそうです。
加工品が多いニシンですが、鮮魚だと違った味わいを楽しめます。
刺身、塩焼き、煮付けなどいろいろな調理法があり、
脂が乗っていてとても美味しくいただけます。
ニシンの旬が終わると、次はカズノコの旬が待っています。
ニシンが春告魚と呼ばれるように、春になるとニシンは産卵の時期を迎えます。
3月から4月にかけてカズノコが旬の季節を迎え、
ニシンと同様人気の食材となっています。
ニシンの販売価格・値段の相場は?
ニシンの価格は時期によって異なります。
築地市場の卸価格を調べたところ、最も安い時期は6月で、
最も高い時期は12月。
12月は6月の卸価格の5割ほど高くなるそうです。
やはり旬の時期やお正月の関係で値上がりするようです。
生のニシンだと1キロ三千円ほどで購入できる業者もあります。
身欠きニシンだともう少しお手頃です。
ネット通販などで購入でき、生のニシンは予約もできるそうです。
良いものが獲れたら新鮮なうちに発送してくれます。
ニシンの刺身はなかなか見かけることはありませんが、
北海道のスーパーやお寿司屋さんでは当たり前のように置いてあるそうです。
ニシンのまとめ
- ニシンは別名「春告魚」と呼ばれ、近世までは「かど」とも呼ばれていた。カズノコはニシンの魚卵なので、「かどの子」がなまって呼ばれるようになった。
- ニシンは国内で獲れる量が激減しており、国産のものよりも加工された輸入品が圧倒的に多い。
- ニシンの旬は10月から12月で、3月から4月になるとカズノコの旬となり二度楽しめる。
脂が乗って美味しいニシン、お祝いには欠かせないカズノコ、それぞれ旬の時期に食べてみてはいかがでしょうか。