トコブシ、漢字では『床臥』または、『常節』と書きます。
アワビと同じ巻貝の一種です。
見た目は、小さなアワビで成長しても長さ7㎝程です。
アワビの子供を食べていると勘違いされても仕方の無い外観です。
味と見た目は、アワビと同じとは言いがたいですが、刺身/煮物/焼き物と様々なレシピがあります。
そんなアワビもどきのトコブシを様々な角度からご紹介します。
トコブシの生態と特徴
トコブシの生態
北海道南部から九州の日本海沿岸及び太平洋沿岸に広く生息し、潮間帯(高潮時の海岸線と低潮時の海岸線の間の帯状部分。低潮時は干上がって陸地となる。)の岩礁域(クロアワビ、メガイアワビなどよりも浅い場所)にいます。
繁殖時期は、台風シーズンの9~10月で台風の通過に伴う時化の刺激で雌雄が放卵・放精を行い体外受精が行われる。
受精卵は約1日で孵化しトロコフォア幼生となる、やがてベリジャー幼生に変態し数日かけて石灰藻に着底するまでに成長する。
着底後、稚貝に変態し珪藻や無節石灰藻の粘液を食べて成長しやがて珪藻を食べ最終的には褐藻などの海藻を食べるようになる。
トコブシの特徴
分類:軟体動物-門腹足綱-前鰓亜綱-古腹足目-ミミガイ科
漢字:床伏、常節、常伏
外国名:Tokobushi abalone
学名:Haliotis diversicolor aquatilis Reeve,1846
日本固有亜種で、長さ:7㎝、幅:5㎝、高さ:2㎝程の大きさでアワビの子供に似ている。
殻の表面は、黒褐色で固体によっては緑褐色をした斑紋が見られる。
内側の殻は、真珠色の光沢を持つ真珠層で覆われている。
アワビとトコブシの違いですが、姿はほとんど変わりませんがアワビの長さは大きいもので20㎝になりますがトコブシは7㎝程にしか大きくなりません。
4. トコブシの生息場所
トコブシは、日本国内において北海道南部から本州・四国・九州の日本海沿岸及び太平洋沿岸の岩場に生息している。
しかし、北海道には生息しておらず本州の房総半島から南側の海に生息するという情報もあります。
伊豆半島の下田市白浜の砥川浦で調査したところ、トコブシは海岸線から5m程から見られるようになり30m地点から100mまでは増え石が少なくなる150m付近から若干減るとのことです。
トコブシの旬の時期・季節はいつ
トコブシの美味しい時期、旬は5~8月と言われています。
産卵時期である9~10月を前に栄養を蓄えるからです。
しかし、流通面から見てみると12月が最も多くなる傾向があります。
その理由はトコブシの別名にありました。
『福溜』と言われその字面から縁起ものとしてお正月のお節料理に重宝されています。
アワビに比べて身が小さく熱を加えても固くなりにくいので煮つけに向いています。
トコブシの旬は、春先から初夏にかけてだけではなく冬にもあると覚えておくとよいでしょう。
トコブシには、次のような栄養素が含まれています。
タンパク質・コラーゲン・アラキドン酸・ベタイン・タウリンと美容に効果のあるとされている栄養成分があり女性も積極的に摂ると良いでしょう。
トコブシの販売価格・値段の相場は?名産地はどこ?
・トコブシの名産地
トコブシの主な名産地は、三重県・徳島県・高知県などです。
稚貝を放流したり様々な努力が行われていますが、国内だけの漁獲量だけでは不足し台湾からの輸入が多くなっている状況です。
・トコブシの販売価格・値段の相場
ひと昔前までは、磯遊びで間単位採取できていましたが今では、アワビほどでは無いにしろ価格高騰気味です。
高知県の室戸では、別名で『ナガレコ』と呼ばれ庶民の身近な貝として親しまれてきましたが、近年は水揚げも減り地元でも中々手を出しにくい高価な貝となってしまいました。
2018年における築地市場の平均卸売価格は、1㎏当たり3,675円でした。
先月からは7%上昇、昨年の9月と比較すると13%程高くなっています。
小売価格としては、1㎏当たり5,000~6,000円程で販売されています。
トコブシのまとめ
・トコブシは、北海道南部から九州の日本海沿岸及び太平洋沿岸に広く生息し、アワビの子供の様な姿でミミガイ科に分類されます。
漢字では『床臥』または、『常節』と書きます。
・アワビの長さは大きいもので20㎝になりますがトコブシは7㎝程にしか大きくなりません。
また、殻に開いた穴の数は、6~9個あります。
・旬の時期は、5~8月と12月で、市場価格は1㎏あたり5,000~6,000円で韓国産が多くなっています。