イタリア料理、フランス料理などヨーロッパ各地で高級食材として親しまれているムール貝。
シンプルにワイン蒸し、ペスカトーレやパエリヤ、ブイヤベースなどが有名なので、食べたことがある人もいるでしょう。
近年日本料理でも酒蒸しや酢の物などに使われるようになり、国産ものの高級ムール貝も流通しています。
業務用スーパーで冷凍もののムール貝が売られ、一般の食卓にも登場しやすくなってきました。
ここでは身近な食材となりつつあるムール貝をご紹介します。
ムール貝の生態と特徴
ムール貝とはイガイ科全般、イガイ科の二枚貝の総称です。
ムール貝と表示されていても実際には品種が異なっていたり、いくつかの種類が混じっているのはこのためです。
カキやフジツボなどのようにくっついて生息しているため「付着生物」と呼ばれています。
黒っぽくやや横長の外見から、ラテン語で「musculus」(小さなネズミ)と呼ばれ、それがフランス語の「moule」(ムール)に変化しました。
ヨーロッパでは早くから食用とされて、古代ローマ時代からすでに養殖が始まったともいわれています。
日本でムール貝として流通しているのは「ムラサキイガイ」か「ヨーロッパイガイ」が多く、食用とされはじめたのは20世紀に入ってからですが、イガイ類の貝は縄文遺跡からも発見されています。
柔らかくあっさりとしており、クリーミー味わいが特徴です。
宮城県や愛知県、三重県などの生け簀で育てられた天然ムール貝は味が良いので、近年人気を集めています。
ムール貝にはロイシンやリジンなどの必須アミノ酸、旨みのもととなるグルタミン酸を多く含み、低カロリーなのでダイエットにも向いています。
またアサリと並ぶほどの鉄分も含まれているため、貧血改善と予防に効果があります。
ムール貝の生息場所・産地はどこ?
地中海原産の貝ですが世界中の温帯の水域で広く見られ、汚染された海でもよく育つことで知られています。
ヨーロッパでは、大西洋または北側にヨーロッパイガイ、地中海沿岸にムラサキイガイが多く生息しています。
日本のムール貝(ムラサキイガイ)は港のテトラポットで繁殖していることが多いため、釣り餌に利用されることもありますが、この自然界に生息している個体には小粒で貝毒の危険があるので食用には適していません。
ムール貝の旬の時期・季節はいつ
概ね冬から春先までに産卵期を終えるため、夏から秋には次の産卵期のために栄養をためます。
ムール貝の旬は栄養をためこんだ6月から12月頃と言われていますが、愛知では3月から9月、三陸産の旬は10月から12月、広島産は6月から9月と、日本国内だけでも産地によって旬の時期に微妙な違いがあります。
フランスのモン・サン・ミッシェル産は漁が解禁される7月から、漁が終了する12月までとなっています。
チリ、韓国、カナダ産などの輸入ものも多く流通しており、ムール貝は冷凍や缶詰で季節を問わず1年中楽しむことが出来る食材とも言えます。
ムール貝の値段の相場は?
季節によって大きさに差がありますが、大体500gで10個前後です。
業務用スーパーで販売されているチリ産の冷凍ムール貝で500g250円程度のものから、国産の天然もので1000円程度と幅広くあります。
最高級品の天然ものとなるとそれ以上も。
殻つき、水煮、冷凍、オイル漬けや缶詰など、加工法によっても値段が変わりますが、剥き身の冷凍ものが多少安い傾向にあるようです。
インターネットの通販サイトなどでは、味は変わらないものの殻の欠けたものや大きさが不揃いな訳あり品もあり、割安でおいしいものを手に入れることも出来ます。
ムール貝のまとめ
日本では外食でしか見ることがありませんでしたが、近年の冷凍技術によってぐっと身近な食材となったムール貝。
健康、栄養面でも評価が高く、鉄分など貧血予防効果のある栄養素が豊富に含まれ、美肌効果やストレスにも良いとされています。
国産が増えたことで美味しさがよりパワーアップし、見た目も豪華なムール貝を是非食卓に取り入れてみましょう。